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「お願いだから力を抜いて。このままじゃ何もできないよ、イギリス」
「……なら、すんなっ」

 イギリスは枕に押し付けた顔をずらし、アメリカの傲慢な頼みを一蹴した。

「はあぁ…………あう……あああ………う、ん……ああああ」

 熱の篭った掠れた声にアメリカの理性の壁がベリベリと剥がれていく。
 愛している人と抱き合うという事が理性との戦いになるとは思わなかった。今まで女の子とベッドに上がろうとした事はあったが割合理性的であったと思う。過去の経験がなんだったのかと思ってしまうくらい全然違う。比較にならない。
 今の気持ちに比べればあんな適当な感情で女の子を好きと言っていたのか。適当だったから簡単に諦められた。フラれても後を引かなかった。
 だがイギリスは違う。アメリカにとって唯一無二だ。もう絶対に無くしたくない。
 酷い事ばかりしてきた。独立後はもう兄弟じゃないと邪険に扱った。イギリスがアメリカと仲良くしたいのを知っていながら、時に無視したりからかってイギリスを傷つけた。
 そうしてアメリカも傷付いた。こんな事がしたいわけじゃない。イギリスに好きだと言いたい。彼の特別になりたい。
 だがそれはイギリスの望む形ではない。そこには決定的な溝があって、その溝が埋まらない苛立ちをイギリスにぶつけた。
 つくづく自分は幼く情けない。認めたくないけれど自覚していた。
 これがフランスや日本ならもっとうまくイギリスと接するのだろうと想像して、嫌になる。
 アメリカは恋に悩むどこにでもいる若者の一人だったが、そういう自分を認めたくなかった。世界を牽引する大国のアメリカが恋に不器用なただの愚かな男だなんて認めるわけにはいかないのだ。

 降参だ、君を愛してる。もう自分を偽らない。イギリスが欲しい。
 だが愛する人の身体はアメリカに抱かれる形にならない。アメリカをノックアウトする魅力的な身体を持っているくせに、見せびらかすだけで内側の味は教えてくれないのだ。早く早くとアメリカの息子が急かすのをあとちょっと待ってくれよと、アメリカは自分を抑えながら泣きたくなった。このままイギリスが身体を拓いてくれないと本当に強姦魔になりそうだった。


「アメリカ、これ使え」と、突然のフランスの声に我に返る。
「……え」

 投げられた瓶を本能で掴んだアメリカは顔を上げて横を見る。寝室のドアを閉めた覚えはないから、ずっと開けっ放しだ。フランスがドアの向こうから手を振る。

「それ使わなきゃ、さすがにその御立派なブツをイギリスにブチこむのは無理があるぜ」

 グッと親指を立てるフランスに、余計なお世話だと思ったが、専用のローションはありがたいので覗きを咎めるのは後だと手にした瓶の蓋をとって、逆さにして振った。

「…うわっ?」

 フランスの存在にイギリスが気付かないのはそれ所じゃないくらい余裕がないからだろう。
 冷たいローションを尻に掛けられイギリスが驚いて首をねじ曲げるのを大丈夫だと耳元に囁き、アメリカは内側にも塗りこめようとゆっくりと指をイギリスの中に侵入させた。
 狭くて抵抗感は強いがズルッと指が入って、今まで苦労したのはなんだったのかと悔しくなる。
 他者の助けがなければイギリスを無事抱く事もできないのかと、自分が情けなくフランスにやつ当たりしたい気持ちがわいたが、今アメリカの頭を占めるのはイギリスの中に入る事だ。
 指でこじ開けた入口にローションの瓶の口を捩じ込み、中身をイギリスの内に強引にぶちまけた。

「うっ…!」

 下から異物を入れるのは違和感が強いのか、イギリスはいちいち反応した。
 中身が大分減った瓶の口を抜き取り、アメリカはイギリスのそこを凝視した。
 弛んだ蕾はぬらぬらとオイルで濡れ、大量に入れられた液体が出口から溢れて出てくる。トロリと中から出てくる液体でシーツに染みが拡がる。恥じるように入口がヒクリと震える。
 もう限界だった。もっと慣らさねばとか、イギリスに挿入の同意をとらなくちゃとか、初めては一回しか体験できないのだからちゃんと憶えておこうとか、そういう、いざという時になったらこうしようと思っていた予定が頭から全てふっとんだ。
 本能的に男を拒む身体がアメリカを受け入れようと綻ぶ様は、アメリカの脳天にガツンとキた。
 ここに入りたいとアメリカの全身が訴え、アメリカはふらふらと、実際は荒い息で呼吸しながらイギリスの腰を持ち上げ犬のような態勢をとらせ、イギリスが暴れ出す前に、尻を固定して、涎を垂らす自分の欲望をあてがい、無理矢理捩じ込んだ。


「ううっ…………ああああああーーっあーあーあーー」


 イギリスは叫んで前に逃げようとしたが、アメリカが許すわけがない。狭い肉の輪をこじ開けるようにアメリカのペニスは中に収まろうと進み、狭くてとても進めない場所は大量に注がれたローションのおかげでズルリと比較的楽に進んだ。






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