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凄まじい背徳感が刺激になり、イギリスの前が気持ちとは逆に硬くなる。
イギリスの抵抗を殆ど気にしないアメリカは露になったイギリスの蕾を舌で撫で、シワの間にたっぷりと唾液を塗りつけて解すように舌先で入口を押し、早くここが開かないかと急くように熱くぬめった舌でこじ開けようとする。
鋭敏になった箇所に次々刺激が送られる。
アメリカの舌がイギリスの後ろでうねうねと軟体動物のように動き回る。
「ひぃっ……うぁっ……ア…アメリカ、駄目、駄目だったら、……ううぅ…ん………そんな……事、するなぁ……」
悲鳴か嬌声か分からない制止の声に、余計にアメリカは煽られた。
理性は頑にアメリカを拒むが、刺激に弱い身体が更なる快感を得ようと勝手に腰を動かし、イギリスの口からは荒い息とうめき声が漏れる。
アメリカは慎重にイギリスの尻を解そうと……しかし初心者らしく内心必死に自分を抑えようと努力しながら……ずっと欲しかった場所を目の前に、焦りと欲望と理性を戦わせていた。
本音を言えばもう一秒も待てず突っ込んでしまいたかった。
相手はイギリスで男の身体なのだから、いざその時になってもそこまで興奮はしないだろう……と思っていた過去の浅はかな自分を蹴飛ばしてやりたい。
イギリスは想像以上だった。自分の妄想など目ではないくらい、フェロモンを放出し、アメリカはイギリスの色香に目の前がクラクラして理性が吹っ飛びそうだ。
身体のあちこちは傷だらけだが、かえってその傷が男らしく感じる。ガリガリだと思った身体だが、抱くとしっかりとした手応えにああ男だなあと思ったが萎える材料にはなりえなかった。
この身体がアメリカを守りアメリカと戦い、雨の中に膝をついたのだ。
フランスの言う通りだ。
イギリスが本気で殺意を向ければあの時のアメリカは到底叶わず独立はならなかった。独立はイギリスが負けてから成ったのではなく、アメリカが無垢な手でイギリスを掴んだ時から決められていた運命だった。
英国は戦争に負けたのではなく、国家の情が負けたのだ。いわばイギリスの愛情を踏み躙る事で成した独立だった。
そのアメリカがイギリスに恋し続けるなんて滑稽すぎるとアメリカは自嘲して、運命の皮肉を嗤うしかなかった。
イギリスがアメリカへの愛に引き金を引けなかったのが運命なら、アメリカがイギリスに恋し続けたのも皮肉な業だった。
いつかは諦められる、いつかはイギリス以外の人を好きになれると思い続けて200年が経った。
イギリスがアメリカの200歳の誕生日に来てくれた喜びを何と表現しようか。
胸が軽くなった。笑うより泣きたくなった。イギリスを愛していると心が叫んだ。
OK認めるよ。オレはイギリスが好きだ。あの人をどうしても諦められないんだ。いつか必ず、恋人になってと頼み、あの人を手に入れるよ。
泣かれるかもしれないが、時間をかければイギリスは分かってくれる。
独立だって200年待ったら許してくれたじゃないか。そうだ。待てばいいんだ。イギリスが折れるまで。
そんな悠長な事を考えていたのは結局拒まれるのが恐かったからだ。イギリスにとってアメリカは弟だ。恋人に関係をシフトするのは並大抵ではない。
アメリカは若かったので……いや、自分のプライドを大事にしたくて告白を先延ばしにした。
イギリスに恋焦がれているなんてバレるのは悔しい。イギリスに追いかけられるくらいで丁度良いとタカをくくっていた。
他人にはバレバレの浅いプライドを抱えてアメリカは都合の悪い事には目を瞑り続けてきた。
だからまさかこんな形で思いが成就するなんて思っていなくて、心はまだ貰えないけれどとにかく身体だけでも先に手に入れなければとアメリカは焦り、しかしイギリスを乱暴に扱うのも躊躇われて必死にイギリスの尻を舐めて解そうとしていた。
遊んでいたように見えたのに案外貞淑だったのは嬉しい誤算だが、身持ちの堅い其処はアメリカを受入れようとはしない。
無理矢理指を突っ込もうとすればイギリスは鋭い悲鳴をあげる。
これじゃあ本当に強姦だと、アメリカはブチ切れそうになる理性をなんとか止めながら、どうしようかと葛藤した。このままでは本当に理性を無くしてイギリスに獣のように襲いかかってしまう。イギリスとの力差は思ったよりあり、アメリカが本気で挑めばイギリスは抵抗しきれないだろう。だがそれでは永遠にイギリスの気持ちは手に入らない。何の為に200年の月日を待ったのか。
レイプはただの暴力でありアメリカが最も嫌悪する犯罪の一つだ。ずっと好きだった人にそんな事をしてはいけないと思う反面、本能のまま貪ってしまえという正反対の心の声がする。
イギリスの中がどうなっているか知りたい。きっと狭くて、入れたら痛いだけかもしれない。それでも、食い千切られたとしてもイギリスに入れて一つになりたかった。アメリカの精でイギリスを穢して自分のモノだと所有の印を残したい。男としての本能だ。ただの欲じゃない。愛なのだ紛れもなく。
「うっ……ぐっ………あ…はあぁ……ってえ……痛ぇって、アメリカッ……」
アメリカの指が浅くイギリスの中に入り、指を動かす度にイギリスは辛そうにくぐもった声を漏らすのでアメリカは何処へも進めない。
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