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「……でけえ」

 イギリスは唾を飲み込んだ。
 アメリカのペニスは成人男子としては大きめだ。
 ……というのは過小評価で、はっきり言えば巨根だった。長さは全部見えないので分からないが、見える部分だけで判断してもかなり太いのが分かる。イギリスのより二回りも太いかもしれない。
 女性の小さな口では含みきれない太さに絶句し、感心すると同時にこれは絶対に無理だという冷静に判断して、青くなる。
 男性経験はあるイギリスだが、しばらく男とは寝ていないから後ろの口は閉じているし、それにこんなに太いモノを入れた事がない。AV女優が使うディルドのような荒々しい大きさに、イギリスは目眩した。

 嗚呼。……こんな場所まで成長しなくてもいいのに。

 世界一の大国のモノが小さいわけがなかった。

「アメリカ、無理! 絶対に無理だ! 口でやってやるから後ろは止せ! 絶対に裂ける」

 イギリスは怯え焦って叫ぶ。こんなモノを入れたら絶対に裂ける切れる、痔になるとブルブルと首を振った。
 人間やってできる事とできない事がある。アメリカのペニスはイギリスには規格外だ。先端だって入るかどうか……。
 本気の拒絶にアメリカが焦れ、手に力が入る。

「嫌だぞ。ここまで来て止められるもんか。今ここでイギリスをオレのモノにする」
「なに強姦宣言かましてやがるっ! 人間やってできる事とできない事があるだろうがっ。後ろはよっぽど慣れたヤツじゃないと入れるのは無理なんだよ。お前経験皆無じゃねえか。それなのにそんなでっかいの突っ込むなんて、される方は痛いだけだ。お前は俺を殺す気か。そっちが気持ち良くてもこっちは流血沙汰だ。野郎に突っ込まれて入院なんて、外に顔向けできねえ、世界中の笑い者だ。オイルを使う事も知らない超ビギナーがアナルセックスなんて100年早いんだよっ」

 イギリスは必死だった。アメリカを止めなければ病院行きは確実だ。兄だ弟だという問題以前に切実な問題が目の前に横たわっていた。巨根の初心者なんて最悪すぎる。
 怯えるイギリスにアメリカが申し訳ない顔になる。

「男同士のやり方くらいネットで学習したさ。……まさか君とこんな事になるとは思ってなかったからゴムも潤滑剤も持ってきてない。………お願いだから我慢してくれ」
「我慢できるかっ」

 イギリスは別の意味で泣きたくなった。
 無理だ。絶対に。アメリカのはでかすぎる。アメリカの初めては欲しいが、これは想定外だ。

「そんなビッグサイズが入るほどオレのはゆるゆるじゃねえっ。指でさえ痛いのに、そんなん入れたら裂けて切れる。大英帝国が痔持ちだなんて洒落にならねえ」
「……そんなに怯えられるくらい大きいのかな」






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