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アメリカの身体ごとぶつけられる欲望に、イギリスはどうしていいか分からず困る。
痛いほど乱暴に扱われる身体。遠慮なく吸い付き擦られる肌はヒリヒリと痛み、歯を立てられるとそのまま食い千切られそうで恐ろしくて身体が竦む。
腕力ではとても適わないが、セックス時の男というのは隙だらけだからイギリスがその気になればアメリカの股間を蹴り上げて逃げ出す事も可能だ。いくらアメリカが頑丈でも急所だけは鍛えられない。
その機会は何度もあったが、イギリスは躊躇い、実行に移せずにいた。
アメリカを愛していた。求められて嬉しくない筈がない。
玩ばれるのではなく愛したいのだと真剣な目を向けられてどうして抵抗できるだろうか。
だが兄弟という意識が枷になってイギリスを情事に溺れさせない。
イギリスの愛は家族の情愛だ。恋ではない。決定的に袂を分ってもアメリカは元弟だから、イギリスはセックスなんて考えた事がなかった。
恋ができないのにこんな形でアメリカを受け入れていいわけがない。
それでも200年以上もイギリスを愛し続けてきたというのなら、1度くらい本懐を遂げさせてもいいのでは…と甘い事を考えてしまう。
アメリカの初めてを貰えるというのも抗い難い魅力だった。初めての経験というのは忘れられるものではない。ましてやアメリカはずっと童貞だったのだ。イギリスを抱けばアメリカは絶対にその経験を忘れない。たとえ後悔してイギリスを疎んじる未来がきたとしても、経験は記憶としてアメリカの中に根付いて残るのだ。
経験の有る無しなどどうでもいいと思っていたが、アメリカに女を抱くチャンスはいくらでもあったのにそうせず我慢してきたのだと知らされ、イギリスは呆れ、そして歓喜した。そこまでアメリカはイギリスに囚われているのだと知って。
恋などという不確かなものは信じていなかったが、それでも長い年月を過ぎ熟した恋という甘美な幻を味わってみたかった。
口にしたらメレンゲのように溶けてなくなる。そうしてイギリスは喪失感にまた泣くだろう。
泣いてもいいから今この時、アメリカの恋の味を味わってみたかった。イギリスは自分の浅はかな欲望に負けかける。
「うぐっ、いっ? ………なにっ?」
イギリスは突然襲った鋭い痛みに思わず悲鳴を上げた。
流されかけた意識が瞬時に戻る。
今までのアメリカの扱いは乱暴だったが、なんとか我慢できる範囲だった。しかしろくに濡らしもしない後ろに指を入れられ、引き攣れたような痛みにイギリスは背を仰け反らせた。
「イギリス、力を抜いてくれ」
無茶言うなとイギリスは怒鳴ったが、最早入れる事を目的とした野獣のようなアメリカの耳には届かない。
「……綺麗だ、イギリス」
「何処見て言ってんだ、変態!」
イギリスの両足の間を広げて竿から睾丸、その下まで食らい付くような目付きで凝視したアメリカが思わず漏らした言葉にイギリスは羞恥のあまり叫ぶ。
こんなのはあんまりだ。
アメリカの食い入るような目付きに視線で犯され見悶えるような恥ずかしさを感じ、イギリスは本気で死にたいと思った。
アメリカがうっとりとイギリスの足の間を観察する。
「本当だ。……初めてじゃないのは知ってるけど、まるで初めてみたいに白くて奇麗だ」
声がねばっこく熱を持ち、イギリスは耳を両手で塞いだ。
「感想は止せ、どんな羞恥プレイだっ…」
両足を広げて腰を持ち上げられた姿勢のままイギリスはなんとか逃れようと足掻くが、頑丈なアメリカの拘束は外れない。万力のようにアメリカの手はガッチリとイギリスの股を持ち上げている。
足の間の秘められた部分をアメリカに間近で観察され、イギリスの後ろは自身の気持ちとは裏腹に期待するように収縮する。
怯えるように窄まる蕾に、アメリカはごくりと唾を飲み込んだ。
「お前……」
イギリスは上半身を腹筋の力で持ち上げ、目に入った光景に絶句した。
自分のあられもないみっともない格好はいい。……いや良くは無いが、それよりも。
アメリカのジーンズの前ボタンが開放され、ブルーの下着が見えている。
その下着を持ち上げ、あろうことか先端がはっきり顔をのぞかせていた。
「……勃ってんのかよ」
イギリスは興奮しきっている元弟の元気なペニスにどうしていいか分からなくなる。アメリカが何を見て興奮しているかなど今更だ。
愛してる、イギリスが欲しいと、貪るように食われている最中だ。
アメリカはイギリスに入れて精を吐き出したいのだ。
視覚から与えられる情報に、イギリスは一瞬思考を止めた。
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