〈おまけのにっさま〉



「そうですか。……良かったですね。私も協力した甲斐がありました。…………はい、入金を確認しました。毎度ありがとうでゲイツ。…………分かっておりますとも。誰にも、とくにイギリスさんには何も言いません。電話を切ったら全てを忘れます。…………うふふ。そんな事はありませんよ。イギリスさんは大切なお友達ですから、大事にしてあげて下さいね。恋人はなってからが始まりです。恋人になったからといって安心してはいけません。付き合うのは大変ですが、別れるのは簡単だという事をお忘れなきよう。…………ええ、今度はイギリスさんと一緒にいらして下さい。……食事は存分に用意しておきますのでスコーンや青いケーキはいりませんので、イギリスさんにもよく言っておいて下さい…絶対に。……ではアメリカさん、失礼します」
 うふふふ。と日本は笑った。
 アメリカはしばらくブリテン島に通うのに忙しくて他国にくる暇もないから、日本の家は静かになる。
 そのうちイギリスと喧嘩をして騒がしくなるだろうが、それまで小休止だ。



『言葉には霊的な力が宿ります。そうですね。千回も唱えればきっと言葉が真実になるでしょう。自分を信じてやってみて下さい。駄目もとでやってみるのも一つの手ですよ。……プロポーズに必用なのは、やはり赤いバラでしょうか。イギリスさんの国花ですが、フランスさんのところでもバラ祭りが開催され、それは見事だそうですよ。手に入れるなら、フランスさん経由で農園から直接買い入れた方が確実ですね。自国で育てたのを持っていくのも素敵ですが。……願いはきっと叶います。そう強く願って行動すれば。動かない人間に文句を言う権利はないという事をいい加減自覚して下さい。イギリスさんを泣かせて独立したのに、告白はできないなんて情けない事は言わないですよね。…………そうですか。ではいいんですね? アメリカさんが動かないのなら、動く気がないと私は理解しますよ。……どういう意味かって? 私たち、そろそろ友達関係を脱してもいい頃だと……。いえ、イギリスさんは素敵な方ですから。何故怒るのですか? あの方はまだ誰のものでもない。身を引く理由がないなら、私も動き出す事にしましょう。フリーなら誰が口説いたって文句はないでしょう。あなたは単なるイギリスさんの元弟であり、今やただの他人。……ねえ、アメリカさん?』
 やはり最後の言葉が背を押したのだろう。
 焦ったアメリカはさっそく動いた。
 アメリカ、イギリス両方に感謝されていい気分だ。
 そのうち種明かしされるだろうが、責められても逆襲する材料はたっぷりある。
 アメリカからせしめた金でフランスと美味しいものでも食べに行こう。
 今まで散々迷惑をかけられてきたのだから、それくらいしてもバチはあたるまい。





「何があっても不幸な結果にはならない。……この国は永遠に続く」
 日本は何億回と唱えた言葉を口の中で呟いた。
 言葉には力が宿るのだ。







おかしい……。ギャグにするつもりがなんか重い。



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